共鳴箱の中側のパレットバルブまわりです。
パレットバルブの枕が革で貼られていました。剥がして見るとオリジナルで貼られていた綠のフェルトが残っています。
膠を剥がしきらない上に貼られています。
通常この枕はバネと反対側のみに貼られていますが、このオルガンは両側に貼られていました。
あれ?と思い革を剥がして見るとやはりオリジナルの緑のフェルト跡が残っていたので最初から両側に貼ってあったようです。
とりあえずは、この膠を剥がしていきます。バネの下は作業がしにくいのでバネをすべて取ります。
バネを下に向けて根元を斜め上に引き上げると取りやすくなります。
ここで注意(!)ですが、バネは全てが同じ力になっているわけではありません。
白鍵と黒鍵の長さがちがうためにバネの強さはそれぞれ変えられています。
バネを取ったら番号をつけてその順番通りに並べておいてください。(どちら側から始めたかもわかるように共鳴箱本体にも印をつけておくと便利です。)
それでは膠をとりましょう。
膠が写真のように光って凹凸になっていると、何かと修理に差し支えますのできれいに取ります。
膠は水にぬれると柔らかくなり剥がすことができますが、この楽器の場合何だかいつまでも水に溶けていきません。
多分、ボンドが使われているのでしょう。このようにいずれ何十年後かに貼替をする部分はボンドは使用せず、必ず膠にすることも修理の大きなポイントです。
ボンドを剥がすのはアルコール消毒ジェルが良いと聞きましたので、「テピカジェル」を塗って剥がします。このコロナの季節、貴重なジェルです。
剥がす時はマイナスドライバーや細めのカッターを垂直にして使うと良く取れます。下の木を傷めないように。
幸い、以前の修理者は膠をきれいに取らずにその上にボンドを使ったようなので、それが幸いして剥がすことが出来ました。
それでも半日かかりました。
きれいに剥がしました!