問題はリード蓋の部分です。音漏れする箇所がいくつかありました。
大正時代あたりのオルガンに多く見られるのですが、リード室の横にバルブとなる駒があります。
これは、ストップを引っ込めた時に音漏れを防止するためにリード室内全体を真空にする装置なので取らないようにしてください。
他の楽器で最初に見た時は何だろう?とわからなかったのですが、ようやくどのような役目をするのかわかってきました。
図をご覧ください。
リード室全体が真空になると、空気の流れによって引き込まれていきますので蓋のしまりも強まっていきます。
そのために音漏れを防止するという機構ですが、少し複雑なのでその後廃止され、リード室の形状をリード蓋にピタッとあてる形状にして真空の密度を保つようになったようです。
外国の楽器ではメイソン アンド ハムリンという会社がこの形式を取ったものがあるようで、pneumatic あるいは suction valveと呼ばれていたようです。(仮に吸入バルブと呼びます。)
このオルガンでは3か所、この吸入バルブの駒がとられてガムテープが貼られていました。
しかし、リード室の形状がこの機構用で、リード室とピタッとあてる形状ではないので絶対にこのバルブを利用しないと空気が駄々洩れしてしまいます。
バルブが取られてガムテープが貼られている。
ということで、三角コーナーも取られてしまってリード蓋を直接リード室にあてて修理をしてみたものの形状が合わないために隙間から空気が漏れてしまいます。
すき間が出来てしまっている。
当然、音漏れがするので仕方がなくリード蓋に皮が足されています。
また、リード蓋の内側の箇所に金具ヒンジが取り付けられてしまっています。
これもオリジナルではないので取り外して、削られた部分を補修します。
また、外したリード蓋はどこがどこだかわからなくなってしまうので、必ず印をつけておきます。
教えていただいた方法は、必ず演奏する正面から見て右側をR,左側をLとして、手前からR1,R2,R3,R4と印をつけていきます。
Lも同じです。
自分でわかりやすいように、他の方法でも構いません。
取り外した金具もどのパーツのものかわかるように印を必ずつけましょう。